月潟稽古場のはなしではなく

月潟劇場のおはなし

 

遅ればせながら

俺の地元でもある旧月潟村で開催されている

「月潟アートプロジェクト」にお邪魔してきました。

(写真を掲載すると、もったいない気がするので

一枚だけの掲載にします)

 

詳細な情報は割愛して、(そこらへんは参考サイトをご覧ください)

会場のもろ近所に住む者として、

さてさて、

「月潟劇場」には驚いた!というお話を。

 

この企画、Art unit OBI (鈴木泰人+本間智美) というお二人がやっているのだけれど、

この日案内してくれたのは鈴木さん。

「月潟に映画館があったって知ってます?」と聞かれ

「???」と目が点になるところからスタート。

てっきりアート作品の名前として「月潟劇場」というものを展示してあるのだろうと思っていたからだ。

40年くらい月潟に住んでるけど、

 

映画館があった

 

だなんて聞いたことがない。

記憶の糸を手繰ってもぶちぶち切れて、どうしても「映画館」とは結びつかない。

そういえば近所のお寺で「ドラえもん」の上映会があったような気がする・・・

そんなところで記憶は途切れてしまう。

 

「実際に、月潟には映画館があって、今もまだその建物があるんですよ」

 

その言葉を聞いても全然しっくり来ない。

どこか別の街の話をしているのではないかと、

詐欺にだまされない様に気をつけて話を聞いているような気分になるばっかりだった。

疑心暗鬼の俺を前にArt unit OBIの鈴木さんは言葉を続ける

 

「しかも、ここから歩いて1〜2分のところにです」

 

もう、悪い冗談のようにしか聞こえない。

いうなればこの辺は庭みたいなもので、目をつむっていても歩けるくらい

よく知った場所なのだ。

 

きむら屋さんという月潟の旧料亭(ここも作品になっている)をあとにして

歩くこと2分。

 

「ここです」

 

と案内された場所は、

今回「朝の鹿でドライブ」のチラシを撮影した通りからも見える

白い倉庫。

俺が小学生のときによく歩いていた細い路地沿いにある

白い倉庫。

周りの風景に溶け込みすぎて見えないくらいの古ぼけた倉庫である。

 

「ここ!ですか?!」

 

まだ、信用してない俺に鈴木さんは笑いながら「はい」と答えで倉庫の古い引き戸を開けた。

ツンとすっぱい匂いが鼻を突いた

酸化したフィルムが放つ古ぼけた匂いだ。

屋内は土間の状態になっていて、冷たい湿気が身体をつつむ。

暗がりの中古いスピーカーから漏れ聞こえてくるのは昭和39年に発生した新潟地震のニュース。

アナウンサーの声は破れてしまいそうな、白黒で聞こえてくるような、独特の抑揚で聞こえてくる。

暗がりにポッと暖色の白熱光がともって、会場がぼんやりと照らされる。

 

高い天井。

屋根にはおびただしい数の板状の木材が整列して張られている。

天然記念物の獣が住んでいそうな静かな空間に

職人が丁寧に組みあげた年代物のベンチが数脚。

おそるおそる会場の真ん中まで進み振り返ると、

二階席の桟敷が昭和当時のまま残っていて、

着物を羽織った少年達が欄干から顔を覗かせるような錯覚さえ覚えた。

 

「まずはそこに座って短い照明作品を楽しんでください」

 

言われるがままにベンチに腰掛けて作品を体験してみる

ここで、さらに驚いたのは

緞帳がある

という事実だ。

月潟劇場 賛江 と寄贈の印に照明が当てられる。

 

ここは確かに映画館で、閉館してずっとかれこれ50年以上も

一般住民の目に触れることなくここで眠っていたのだ。

 

近所に住む俺にとっては

「両親が実はロシアのスパイだった」と知らされるような妙な衝撃度である。

巨大なタイムカプセルが裏庭で発見されたような驚きがあった。

 

50年間も眠り続けていた映画館。

そこで喚声をあげてながら銀幕を眺めていた住人の大半はもうこの世にいない。

酸化したフィルムの香りと高い天井、二階席へと繋がる木造階段、

そして堂々たる緞帳が「映画館にようこそ」と声を放っているようだった。

 

映画文化に詳しいわけではないけれど、

現在演劇文化に膝元まで漬かっている身としては

自分の娯楽のルーツに係る場所のように感じて鳥肌がとまらなかった。

 

こんなところに隠れてたんか?

 

遠い昔、近所で神隠しにあった子を見つけたような、

はやくお風呂に入れたあげなきゃ、と感じるような

いとおしい気分で一杯になった。

 

この場所を、大勢の人にみに来て欲しい。

 

新潟に現存する貴重な木造映画館だろうとのこと。

取り壊しの憂き目を逃れて、よくぞ、いまだにその姿を保ってくれていると誇らしくもなった。

今後、この場所がどのような運命をたどるのか?見届けたいと思った。

 

【月潟劇場】

住所:新潟市南区月潟1555 旧料亭 きむら屋 から徒歩2分

開催期日:

水と土の芸術祭としては、残すところ下記のように開館(2019/09/25現在)

9月29日(土) 15時〜20時
9月30日(日) 15時〜20時
10月6日(土) 15時〜20時
10月7日(日) 15時〜20時
10月8日(月祝) 15時〜18時

 

参考サイト

水と土の芸術祭(注!作品写真あり)

http://2018.mizu-tsuchi.jp/citizen/detail.php?id=1877

フェイスブック

https://www.facebook.com/artunit.obi/

 

Art unit OBIの鈴木さんや本間さんが、

地元の声と記憶を丁寧に集めて、「月潟劇場」について沢山説明してくださいます。

貴重な体験とお話、ありがとうございました!

 

  • 2018.12.06 Thursday
  • -
  • 16:36
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